イスラム教にとっての神聖な月ラマダンが6月18日から続いている。イスラム教徒が断食を行う日中は普段に比べ街中がおとなしくなる一方、夜間は営業時間が長くなり、消費行動は活性化する。この時期には、ドバイ各地でナイト・バザールが開催され、流行に敏感なファッショニスタたちが夜な夜なバザールに繰り出す。  

6月24日から5日間にわたりジュメイラ地区のサンセットモールで開催された「イベントラ・ラマダン・フェア(Eventra Ramadan Fair)」では、ファッショニスタが垂ぜんする新進気鋭ブランドの新作アバヤが大量に披露された。  

 

アバヤはアラビア半島で着られる女性用の民族衣装で、イスラム教徒の女性が体のラインを隠すために全身をすっぽりと覆うデザインとなっている。黒が一般的となっているが、近年は流行の発信地ドバイを中心に、細部に刺しゅうが施されたものや、黒以外の色を用いたものが人気を集めている。  

 

同フェアでは、米TVショー「Keeping up with the Karshians」への出演でも有名なモデルのキム・カーダシアンが着用するミーナ・ローズ(Meena Rose)や、10万人以上のフォロワーを獲得し「インスタグラム起業家」としてたびたびメディアにも登場するファトマ・アル・ムッラ(Fatma Al Mulla)など、国内外で活躍するデザイナーのハイエンド・アバヤが並んだ。  

 

各デザイナーがそれぞれの個性を反映したアバヤを作る中、伝統的な黒一色から一転して、今年の流行色を取り入れたものが目立った。特に、アクアマリンやルーサイト・グリーンなど、透明感のある淡い緑を基調としたものや、柔らかく風にたなびくようなカスタード色の薄い素材感を生かしたものが多く、エレガントな雰囲気を醸し出すものが好評を博した。  

 

アバヤの中に交ざり極めて独自性を放っていたのが、アバヤ風に着こなす日本の着物を販売するチカ・コレクション(Chi-ka Collection)だ。  

 

陳列されているアバヤは日本製のハンドメードの着物で、振り袖や付け下げ、家紋入りの留め袖など、日本人には定番の一般的な着物だ。ファウンダーのニナ・トロジャノビッチ(Nina Torojanovic)は自身の着物アバヤを着て、雑誌でベスト・ドレッサー賞を受賞している。  

 

日本の着物とは異なり、帯を締めて着付けを行うのではなく、帯なしで洋服の上から羽織り、ハイヒールとクラッチバッグを合わせるのがチカ・コレクションの推奨する着物アバヤの着こなし。ドバイ内の伝統的なアバヤショップでも、昨年から日本の着物をイメージした「キモノ・トップ」がじわじわと人気を集めており、メード・イン・ジャパンの伝統ファッションがドバイ市場に普及し始めている。  

 

7月1日~5日には、ジュメイラ地区のメルカート・モールでもラマダン・ファッション・ナイトが開催される。地元UAE出身のデザイナーが、ラマダン中のイベントやラマダン後の大祭(イード・アル・フィトル)時を想定したアバヤやドレスを展示する。  

 

2日~11日は、ドバイ世界貿易センターで、域内最大のナイト・バザールが催される。イフタール後の8時から翌2時まで開かれ、300以上の国内外のブランドが店を構える。主催者は、10日間で12万5000人の来場者数を見込んでいる。  

 

9日~16日は、大祭前最後のバザールがワフィ・モールで開かれる。アバヤやジュエリーなどのファッションアイテムだけでなく、アートや工芸品も並ぶ予定だ。  

ラマダンも中盤に差し掛かり、後半からラマダン後の大祭に向けたファッショニスタたちの眠れない夜は続く。

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