アラブ首長国連邦(UAE)エネルギー省は7月28日、ガソリン販売価格を改定し、8月1日よりレギュラー(Special 95)価格を24%、ハイオク(Super 98)価格を23%値上げすることを発表した。UAE政府が過去30年間国際価格を下回る販売価格を負担し続けていた中で、初めての値上げ決定となった。
UAE政府はかねて値上げを行う意向を示しており、価格の上昇幅は28日に発表するとしていた。同日、UAEエネルギー省のウェブサイトには発表を待つ人によるアクセスが集中し、一時アクセスができない状況になった。
昨年1年間で原油価格は50%以上上昇し、1バレル115ドルの値を付けた。一方で、今年に入り原油価格は急落。産油国であるGCC諸国は原油価格の急落を受け、財政赤字の解消に向けた対策を採り始めている。
議会の反対により後に撤回したものの、クウェートは1月に軽油と灯油の価格を上げる決定を行った。オマーンもガソリン価格の値上げを検討し、バーレーンも4月から天然ガスの価格を上げている。
IFMは今年6月、UAEが2015年にGDPの2.3%の財政赤字を経験すると予想しており、格付け会社ムーディーズは2015年のブレント価格が1バレル60ドルで推移した場合、UAE政府の収入が27%減少すると予想している。
UAEのガソリン価格は、これまでレギュラーで1リットル当たり1.72AED(約58円)、ハイオクで同1.82AED(約62円)に据え置かれていた。8月1日以降は、レギュラーが同2.14AED(約73円)、ハイオクが同2.25AED(約77円)になる。
発表を受けた消費者の意見は、「生活コストが上昇する中で、車社会のドバイにおいてガソリン価格の値上げは、生活を一層逼迫(ひっぱく)させる」「UAEの経済を押し上げる」など賛否両論。「車を使う人が減り、渋滞が緩和される」と期待を寄せる声もある。
ガソリン価格の値上げの一方で、軽油は30%の値下げが発表された。民間投資会社は物流セクターでのGDPへの貢献が伸びると予測し、今回の決定を前向きに捉えている。
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