砂漠の眺めは楽しんで、乾きからはしっかり逃れて。
アラブ首長国連邦のリワ砂漠は、雄大な砂丘に沿ってオアシスが点在し、観光客も多く訪れる人気スポット。砂漠の中にはリゾートホテルもたくさんあるのですが、2020年にオープン予定の新リゾート「Oasis Eco Resort」は、ほかとはちょっと様子が違います。見渡す限り砂砂砂…の世界にあって、一種異様な存在感。水の要塞都市とでも言いましょうか。
Oasis Eco Resortの中心となるのは、地下から湧き出る水で造った「泉」。それをぐるっと取り囲む形で宿泊施設やレストラン、ジム、スパなどが連なります。この泉が実にさまざまな役割を担い、砂漠とは思えない驚くべき環境を生み出すのです。
まず、作物の栽培。施設内で灌漑農業が行なわれ、収穫した野菜はレストランで調理して提供するのですが、水源はもちろん泉です。野菜たちは泉から引いた水をたっぷり吸収し、砂漠の乾きをものともせず育ちます。併せて、施設内から出る排水も無駄なく農業に利用。環境にしっかりと配慮してます。
泉が育むのは野菜だけではありません。泉の一角には魚の養殖スペースも。育てた魚は野菜と同様レストランで食べられます。究極の地産地消ですね。
泉の役割は食料の供給だけではありません。水辺には植物が育ち、水を求めてさまざまな生き物が集まってきます。宿泊者は砂漠の中にいながらにして、泉に集う生き物や豊かな緑で目を潤すことができるんですね。ちなみにリゾートには野生生物学者と野生生物保護スタッフが勤務し、生態系を見守る予定。
ほかにも環境への配慮が随所に見られます。電気は全て、屋根に設置されたソーラーパネルで自家発電。設置される大量のパネルは約1万4585平方メートル(畳8,000枚)分にもなります。
この要塞都市もといリゾートホテル、総工費は8000万ディルハム、日本円で約24億5800万円。奇しくも新国立競技場と同じくらいです。一泊いくらするんでしょう。どうやらスイートのみらしいんですよね…。
source: designboom、Design Build Network、Baharash Arhitecture
(Aska T.)