海外進出からの撤退を考えている企業は4割を超えるなか、一方で海外進出に成功した企業の実例を紹介しながら、何が成功のカギだったのかをご説明したいと思います。
「この企業だからできたんだろう?」「たまたまだろう?」と思われるかもしれませんが、決して真似できないような難しい内容ではありません。ぜひ活用いただければと思います。
■老舗かりんとう屋が挑んだ ドバイマーケット
(ドバイでかりんとうは売れるのか!?)
「ドバイでかりんとうは売れませんか?」
初めにお声がけいただいたとき、言われたのがこの言葉でした。今回ご紹介するある老舗かりんとう屋は、こだわりのあるかりんとう作りで国内でも広く知られた存在でした。しかし、国内需要の頭打ちが見えてきたため、海外での販売を逸早く検討していました。
その検討をする中で、日本の洋菓子屋であるヨックモック社が、ドバイで売上を伸ばしていると聞いたため、「うちのかりんとうも、もしかするとドバイで受け入れられるのでは?」と思い立ったのだそうです。
結果的にこの老舗かりんとう屋は、ドバイで大きな一歩を踏み出すことに成功しました。世界的な大手ホテルからの誘いや、ドバイのみならず近隣国からも大口の問い合わせが入り、新たな販路獲得に大きな活路を見出すことができました。驚くべきなのは、ドバイプロジェクトをスタートしてからわずか3ヵ月で、こうした成果が得られたことでしょう。
では、なぜ老舗のかりんとう屋が3ヵ月という超短期間で海外進出に成功できたのでしょうか。3つのポイントに絞ってご説明します。
(1)社長自ら現地に乗り込む
割りと一般的な海外進出のポイントでもありますが、現地で即断即決できるように、社長自らドバイに乗り込み、打ち合わせを行う。その場で即断即決していくことでスピードを上げるのはもちろんですが、社長自らが打ち合わせをし、見込み客の反応や土地柄などを直接感じることで、後々社内にて説明や指示する際の具体性が増す。具体的な判断材料の自らの収集と直接の判断が重要です。
(2)机上のマーケティングより、現地でのトライアル
ドバイでの生活習慣病の増加や、甘いものが好きな民族性などの事前データをもとに、ヘルシーな天然黒糖を使った独自製法のかりんとうは、ドバイマーケットにあっているだろうと予想していました。しかし、日本にて様々なデータを前にあれこれ議論を重ねるより、まずは現地の反応を確かめてみることにしました。
そこで早速、フードフェスティバルに出店し、ドバイ現地の人に実際に見て食べてもらうことで、プライシングや味、パッケージングなどに対する生の反響を早い段階で得ることができました。様々な上部のデータを集めるだけでなく、実際に動いてしまった方が本当に適したデータが集まり、次の戦略が格段に立てやすくなります。
(3)できない理由より、できる工夫。国内外企業とのリレーションを
当然全てが順風満帆に進んだわけではありません。中東という地域の独自性や、守らなければいけないルールなど数多くあります。しかし、全てを自社や日本側でやるのではなく、パートナー企業を活用することで、自らが得意な部分に集中することができました。
例えば、輸出や輸送の手続き、現地での商談のセッティング、現地企業からの問い合わせなどは、国内外の適したパートナーに依頼することで、本来の役目に特化し進めることができます。海外ビジネスでは、できない理由を考え始めたら、それこそきりがありません。国内だけではなく海外企業とも協力する発想が必要です。
いかがでしょうか?決して難しい内容では無いと思います。また、たまたま成功した事例じゃないの?と思われるかもしれませんが、チャレンジしたからこそ大きなチャンスを得ることができたのです。
海外進出で得られるのは、メリットだけではありません。失敗もつきものです。ただ、上記の実例を見ていただいた通り、今の日本国内で世界的に有名なホテルから、かりんとうをご所望いただくことは非常に難しいと思います。海外というマーケットで、初めて見て食べるものだからこそ、このようなビックチャンスを掴むことができたのです。
元記事 : ドバイでかりんとう販売を実現させたすごい会社