昭和電工と丸紅、千代田化工建設の三社は7月7日、温度や光などを人工的に制御して野菜の栽培を屋内で行う「植物工場」の海外展開に乗り出すことを発表した。三社は第一弾として、中東のアラブ首長国連邦(以下UAE)ドバイで、現地財閥のアルグレアグループと組み、来年からレタス栽培などの実証実験を小型プラントで実施する。
「植物工場」とは、施設(プラント)内の温度、光、炭酸ガス、養液などの環境条件を自動制御装置で最適な状態に保ち、作物の播種、移植、収穫、出荷調整まで、周年計画的に一貫して行う生産システムのことを言う。通常の食物栽培と比較しての利点は、1年中安定的に生産できること、自動化や多毛作で高い生産性を実現できること、栄養素の含有量を高めることが可能であることなどが挙げられる。
1年間のフィールド試験後には、商業生産をしていく予定だ。 UAEを含む中東は、現在湾岸の6カ国合計で年間300億ドル相当の葉物などの野菜を国外からの輸入に頼っている。現地の人々の、「新鮮な野菜を自国生産したい」というニーズは高い。
昭和電工が開発した植物工場用の栽培システムは、野菜の成長を促進する光合成・光応答(赤色光と青色光)の最適比率の調整や、水の循環システムで少量の水での稼働が可能だ。特に水の循環システムは、水不足の中東において大きな働きが期待できる。将来的にはトマトなど品揃えを増やしていく予定だ。
また、丸紅は中東を手始めに、更には日照時間が少ない北欧やロシア、アフリカなどにも植物工場の拡販を計画している。