ドバイのアート地区アル・サーカル・アヴェニュー(Al Serkal Avenue)で10月25日、夏季限定イベントNadi Al Quozの一環として、日本発祥のプレゼンテーション企画「Pechakucha」が開催された。
Pechakuchaは、日本語の「ぺちゃくちゃしゃべる」ことから名付けられたもので、20秒ごとに切り替わる20枚のスライドを用いてプレゼンテーションを行うというもの。
日本を拠点とする建築事務所クライン・ダイサム・アーキテクツの共同代表者発案で、2003年に東京で初開催。その後、世界中に広がり、これまで世界900の都市でさまざまなテーマを設けて実施されている。
今回はデザインをテーマに10人がプレゼンテーションを行った。ドバイで活躍するさまざまな分野のデザイナーが招待され、ドバイ在住の建築士丸山剛史さんと寺本健一さんの2人も日本人としてプレゼンテーションを行った。
ほかのプレゼンターに先駆け最初に登壇した丸山さんは、アメリカン大学ドバイ校の建築学科で教鞭(きょうべん)をとる建築士。中東の文化ファッション誌「Brownbook」の本社や、ドバイの公立公園内の図書館カフェなど、自身が過去に手掛けたプロジェクトについて説明した。
丸山さんは「ドバイの建築はいかに加えるかを考えた盛り過ぎなものが多い。私はミニマリズムの美点を生かし、いかに減らすかを考えてデザインを行っている」と、機能的でシンプルなデザインの良さについて語った。
8番目に登場したのは、Ibda Designの共同経営者でプリンシプル・アーキテクトの寺本さん。自己紹介から始まったプレゼンテーションでは、日本の景気後退のタイミングが自身の人生の転機に重なるというグラフを示し、会場の笑いを誘った。
寺本さんは、モスクや75のコンテナを活用したデザインハウスなどのプロジェクトを語るとともに、訪れた街で見た建築の特徴や様式、社内の議論の様子などを語り、学生が多くを占めた来場者に向け、デザインを形にするまでのアイデアを提供した。
そのほか、City Walkの居住地区やドバイ商工会議所のインテリアを手掛けたTAM Designや、地形や建造物専門写真家のBaber Afzalなど、ドバイを拠点に活躍するさまざまなデザイナーが登場し、立ち見が出た会場を沸かせた。